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人工股関節置換術では、骨盤側の臼蓋カップと大腿骨側のステムのサイズ、設置位置により術後の人工関節の動きや安定性が決まります。
位置が不適切な場合、脱臼や脚長差、部品の磨耗、可動域制限の原因になります。
従来の手術器具を用いた方法では設置位置にばらつきが生じるという問題がありましたが、当センターではこのばらつきを解決するため、ナビゲーション支援のシステムを導入しています。
カーナビで出発前に到達位置を登録しておくとその指示通りに運転すれば目的地に到達できるのと同様に、ナビゲーション支援による人工股関節置換術では、術前に個々の患者さまにあった人工関節のサイズと位置を術前骨盤CT画像とコンピューターを用いて設計します。
術中は骨盤、大腿骨、手術器具の各々に位置情報を知らせるアンテナを設置し、赤外線カメラでこれら3つのアンテナの距離を計算します。
モニターに手術道具の位置がリアルタイムで表示され、それを見ながら計画した位置に人工関節を設置します。機械の誤差(角度・距離)は1度、1mmですが、術中様々な条件が組み合わさり理論上は3度、3mm程度の誤差が本システムの限界と考えられます。
当センター長はこれまで2300関節以上ものナビゲーション手術に携わり、高度な習得技術により設置角度誤差3度未満を目安に手術を行ってきました。
このナビゲーションに、筋肉をほとんど切らない筋腱温存手術を組み合わせることによって患者さんの負担を最小限に抑えた手術を今後も目指します。